セプラフィルムの臨床成績(有効性・安全性)
セプラフィルムの有効性と安全性に関しては、数多くの報告がなされている。
米国では、潰瘍性大腸炎あるいは家族性ポリポーシスの患者で、大腸全摘術(回腸嚢肛門吻合術)及び回腸人工肛門造設術を施行し、その後に2期手術として人工肛門閉鎖術が予定された患者183例を対象とした多施設無作為化二重盲検試験が実施されている(Becker JM et al.: J Am Coll Surg, 183, 297-306, 1996)。
術後、正中創下にセプラフィルムを貼付し、8~12週後の人工肛門閉鎖時に腹腔鏡を用いて正中創裏面の癒着を観察し、セプラフィルムを使用しない対照群の癒着と比較した。その結果、セプラフィルム群では、癒着の発生率、範囲及び程度が軽減されることが示された(下表)。
有害事象についても両群間に差がなかった。
又、日本においても、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸癌などの患者を対象に行われた臨床検討においても米国と同様の結果が得られている(福島恒男ほか:外科治療, 81:227-233, 1999)。
不具合・有害事象
使用成績調査終了時(実施期間:1998年4月1日~2000年8月25日)
収集総症例数724例中、有害事象報告は8例(1.1%)10件であった。その主なものは、発熱4件(0.6%)、めまい、嘔気、頭痛、便秘症、心窩部痛及び腹腔内出血が各1件(0.1%)であった。
(1)重大な有害事象
1) 創感染、膿瘍、腹膜炎、敗血症
創感染、膿瘍、腹膜炎、敗血症(いずれも頻度不明注))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。
2) ショック
ショック(頻度不明注))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。
(2)その他の有害事象
下記のような症状があらわれることがあるので、異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。
0.2~1%未満 | 0.2%未満 | 頻度不明注) | |
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腹部事象 | 腹腔内出血 | イレウス、浮腫、癒着、創哆開 | |
その他 | 発熱 | めまい、嘔気、頭痛、便秘症、心窩部痛 | アレルギー反応、肝機能検査値異常、皮疹、腹痛、下痢 |
注)自発報告により認められている有害事象のため、頻度不明。
(添付文書)